『徳川日本と日光』
ごあいさつ
約250年という長きにわたり平和な世を築いた江戸幕府。その成立と日光は密接な関係があります。
江戸幕府は慶長8年(1603)に徳川家康公が朝廷から征夷大将軍に任命されたことで成立しました。しかしそれだけでは不十分で、将軍の権威の永続こそが草創期の幕府の課題でした。そこで幕府は天海大僧正を中心に東照宮を創建し,家康公を東照大権現として祀ります。元和3年(1617)の日光東照宮の創建は、東照大権現(家康公)を初代とする徳川将軍家が天下を治める、いわば「徳川日本」とも言うべき新しい国家体制を象徴する出来事でした。日光山も徳川将軍家と江戸幕府の権威を支える聖地へと生まれ変わったのです。
天下を統一した江戸幕府は、日本の外交も担当します。将軍は対外的には軍事指揮官の意味に過ぎません。寛永13年(1636),将軍の対外的な称号として「日本国大君(にほんこくたいくん)」を用いて外交の前面に立ち、朝鮮通信使や琉球使節の日光訪問を実現しました。日光は国内だけでなく外国に対しても徳川将軍家の権威を印象づける,大切な外交の場でもあったのです。
今回の展示では、江戸幕府がその威信をかけた家康公・家光公の回忌供養関係資料や江戸幕府と外国との交流資料を通じて,江戸幕府の成立と日光の発展の関係をご紹介します。江戸時代の日本国内外の人々が経験した日光の雰囲気を味わってください。
令和 5年4月
輪王寺宝物殿
【主な展示品】 ☆国宝 ◎重要文化財
☆大般涅槃経集解 第47巻1巻 平安時代
◎鋳銅半肉千手観音像 1面 平安
東照宮御縁起 巻第二(駿河花見) 1巻 文化11年(1814)
大猷院二十一回忌 釈迦三尊像 1幅 寛文11年(1671)
青貝摺経机・経箱 1脚・1合 寛永13年(1636)
びいどろの皿 1枚 江戸時代
朝鮮通信使奉納 銀製香合 1合 明暦元年(1655)
ユニコーンの角 1本 寛文11年(1671)