近世日光山を彩る将軍と宮様
ごあいさつ
門跡寺院とは,皇族や公家が住職を務めたことがある寺院を指します。輪王寺宮門跡は,承応3年(1654)に後水尾上皇の皇子守澄(しゅちょう)法親王を日光山と東叡山寛永寺の住職に迎えたのが始まりです。翌年,守澄法親王は天台座主となり,朝廷から輪王寺宮の称号が与えられました。これは徳川家の守護神である東照大権現を祀る日光山の格式を上げようとする天海大僧正の構想によって実現したものです。以降,幕末の公現法親王に至るまでの歴代の輪王寺宮は,江戸上野の寛永寺本坊に住み,東照宮の祭礼の際には日光山滞在や使者の派遣をしていました。輪王寺宮は将軍を宗教面から支えていたのです。
徳川将軍家は,家康公の命日である4月17日に将軍や嫡子が東照宮に参拝する行事を,2代将軍秀忠公から12代将軍家慶公の代まで合計19回実施しています。通常は,将軍の代参使を派遣していました。
輪王寺宮や徳川将軍家,その使者が日光山を訪れることで,その身分にふさわしい調度品や奉納品,さらに輪王寺宮や将軍自身の創作品などが,日光山にもたらされていきました。
本展示では,輪王寺宮と徳川将軍家に関わる資料によって彩られた近世日光山の雰囲気を御堪能いただければ幸いです。
令和 4年12月
輪王寺宝物殿
【主な展示品】 ☆国宝
☆大般涅槃経集解 第45巻 1巻 平安時代
紙本着色 東照権現像(複製) 1幅 寛永19年(1642)
紙本着色 本照宮御影(守澄法親王画像 ) 1幅 江戸時代
紺紙金字法華経 普門品 天真法親王筆 1巻 江戸時代
家斉将軍御贈経 3巻 文化12年(1815)
澪標図屏風 1隻 江戸時代
輪王寺宮門跡御所用器 5点 江戸時代
文庫 北白川宮妃奉納 1点 明治時代
次回展示予告 2023年 2月9日(木)~ 2023年4月6日(木)
描かれた日光