東照大権現と薬師如来―神君家康公の本地仏―
ごあいさつ
寛永13年(1636)4月,日光山では東照社(後の東照宮)を中心に徳川家康公の二十一回忌法要が国家的な規模で挙行されました。それまでに,日光山の堂社はほとんど面目を一新し現在わたしたちが目にする景観の基礎が形づくられたと言われています。
神としての東照大権現の本地仏は薬師如来です。神と仏を同体と見る神仏習合の思想では,神とは,仏が神の姿を権りて現れた(すなわち権現)ものと考えます。つまり,東照大権現は薬師如来が本来の姿なのです。家康公の生涯と日光に祀られるまでを描き出す『東照宮御縁起』にも,家康公の母君が三河国鳳来寺(愛知県新城市)に子宝を授かるよう祈願する場面が描かれていますが,この鳳来寺の御本尊は薬師如来です。
元和3年(1617)3月に竣工した日光東照社にも薬師如来を祀る薬師堂(鳴竜として著名)が造営され,日光山において薬師如来は重要な位置付けを与えられるようになりました。その後も五十年ごとの御遠忌には,大幅の薬師如来の画像を作り,全国から大勢の高僧を集めて大規模な法要を営みました。
明治の神仏分離によって仏教にまつわる宝物は輪王寺に集められました。日光が鮮やかな秋の彩りに包まれるこの季節,家康公の生前の姿を伝える東照権現像(霊夢像)を中心とした選りすぐりの宝物をお楽しみいただければ何よりの幸いです。
令和 4年10月
輪王寺宝物殿
【主な展示品】 ☆国宝 ◎重要文化財 ○栃木県指定文化財
☆大般涅槃経集解 第44巻 1巻 平安時代
◎紙本着色 東照権現像 茶紋服 1幅 寛永20年(1643)
紙本着色 東照宮御縁起 巻1 1巻 文化11年(1814)
ユニコーンの角 1本 寛文11年(1671)
禁裏院中御贈経 5巻 寛文3年(1663)
絹本着色 薬師如来 1幅 江戸時代
絹本着色 日光三所権現画像 1幅 江戸時代
次回展示予告 2022年 12月8日(木)~ 2023年2月7日(火)
近世日光山を彩る宮様と将軍