日光山の風流(ふうりゅう)と風雅(ふうが)
ごあいさつ
風流(ふうりゅう)とは,世俗から離れて上品であることと同時に,数寄(すき)を凝らし美しく飾ること。風雅(ふうが)は,雅(みやび)やかで趣があり,詩歌・書画・茶道など芸術にたしなみのある事をいいます。
勝道上人が開いた奈良時代以来の山岳信仰の霊地,あるいは徳川家康公・家光公を祀る徳川家の聖地として,日光は多様な信仰を育み,人びとを集めました。古くは慈覚大師円仁や弘法大師空海の来山を伝え,室町時代には連歌師柴軒宗長(さいおくけんそうちょう)が日光を訪れ,座禅院で歓待を受け,猿楽師の能や謡(うたい)を堪能しました。輪王寺に伝わる古能面は法会や行事に関わると考えられますが,猿楽師や連歌師など,芸能にたずさわる人びとの来訪にも関係があるかもしれません。
徳川家康公を祀る東照大権現が勧請されて後は,朝廷から毎年派遣される例幣使(れいへいし)や将軍の参詣をはじめ,多くの人を呼び寄せました。松尾芭蕉もその一人です。明治時代になると,避暑地として,近代的な観光地として,新たな価値観で見直されると政治家や画家・文学者などが訪れるようになりました。
かつては風流をもととした芸能を楽しみ,多くの芸能者が風雅を競った日光。長い年月を経て残された日光山の風流と風雅の一端を,この機会にお楽しみいただければ幸いです。
令和 3年 2月 輪王寺宝物殿
【主な展示品】 ☆国宝 ◎重要文化財 ○栃木県指定文化財
☆大般涅槃経集解 第34巻 1巻 平安時代
◎鋳銅半肉千手観音像 1面 平安時代
徳川吉宗公筆 井出の玉川図 1幅 江戸時代
○朝鮮通信使奉 敔 1基 明暦元年(1655)
古伊万里大皿 松竹梅唐草 1枚 江戸時代
伊万里焼金襴手二尺大皿 1枚 明治時代
歌川広重 下野中禅寺湖水 1葉 江戸時代
笠松紫浪 日光中禅寺湖 1葉 昭和時代
高隆古 大黒天 1幅 嘉永6年(1853)
次回展示予告 2021年 4月8日(木)~ 6月9日(水)
徳川家光公と大猷院の行事(仮)
公益財団法人德川記念財団常設展示 *日光山輪王寺宝物殿は德川記念財団の特別協力館です。
古典文学と絵画
ご 挨 拶
思想や感情を言語で表現した芸術である文学は,近年,作品を読むことだけにとどまらず,それを題材にしたテレビドラマや映画,アニメなど様々なかたちで人々に親しまれています。文学作品の楽しみ方が多様化しているといえます。
現代のようにマスメディアが発達する以前は,古典文学にちなむ絵画や絵巻,工芸などが人々に親しまれてきました。物語の一場面や,登場人物をいきいきと描き出し,古典文学作品の魅力を後世に伝えています。
本展示では,徳川宗家17代家正の妻・17代家正の妻・正子(なおこ)所用と伝わる伊勢物語図屏風など,古典文学をモチーフとした作品をご紹介いたします。絵画として描かれた古典文学を楽しんでいただければ幸いです。
令和 3年2月 公益財団法人 德 川 記 念 財 団
《常設展案内》
- ●日光山輪王寺宝物殿(次回)
令和3年 4月8日(木)~ 6月9日(水)「茶を彩る道具」
- ●久能山東照宮博物館
令和3年2月11日(木)~令和3年4月6日(火)「徳川慶喜展」
(久能山東照宮企画展への出品協力)
〒422-8011 静岡市駿河区根古屋390 TEL054-237-2437
久能山東照宮ホームページ http://www.toshogu.or.jp
【交通機関】東名静岡または清水I.Cより日本平まで約20分
JR静岡駅よりしずてつバス「日本平行き」
【駐車場】 日本平に無料駐車場200台
〔日本平〕よりロープウェイにて5分
展示内容・展示期間は、予告なく変更する場合があります。
公益財団法人 德 川 記 念 財 団
〒151-0065 東京都渋谷区大山町37-6 TEL03-5790-1110・2620
ホームページ http://www.tokugawa.ne.jp