徳川家康公の肖像
ごあいさつ
輪王寺は徳川家康公のお姿を描いた掛軸を8幅所蔵します。いずれも家康公が亡くなって30年ほどの間に,家康公と実際に接した人びとによって制作された貴重な肖像画です。
江戸に幕府を開き,250年を超える太平の礎を築いた家康公は,逝去された後,いったんは久能山(静岡県)に埋葬されます。家康公による「死後は日光山に社をつくり勧請せよ」との遺言どおり日光東照宮の造営が始まります。
東照宮の造立を主導したのは二代将軍秀忠公でしたが,現在わたしたちが目にするものに近い姿に整備したのは次の三代将軍家光公です。
家光公は自らを将軍の後継者として引き立ててくれた家康公をことのほか敬愛し,夢にそのお姿を見るたびに幕府御用絵師の狩野探幽にそれを描かせました。これが輪王寺に残る家康公の肖像,すなわち東照権現像です。
毎年春と秋に執り行われる東照宮の例大祭では千人武者行列と呼ばれる華麗な行列が山内を練り歩きます。今年は感染症の影響で行列は中止になりましたが,いにしえの行列の風情を宝物を通じて味わって頂ければ幸いです。
令和 2年10月 輪王寺宝物殿
【主な展示品】 ☆国宝 ◎重要文化財 ○栃木県指定文化財
☆大般涅槃経集解 第32巻 1巻 平安時代
◎鋳銅半肉千手観音像 1面 平安時代
◎東照大権現画像(霊夢像) 1幅 寛永20年(1643)
東照宮祭礼行列図 1巻 江戸時代
東照宮御縁起 第4巻 1巻 江戸時代
後水尾天皇親筆 玉襷和歌 1葉 慶安元年(1648)
薬師如来画像(御遠忌掛絵本尊)1幅 江戸時代
○朝鮮通信使奉 敔 1基 明暦元年(1655)