日光山輪王寺宝物殿 所蔵品展 「春を招く寿」
ごあいさつ
師走からお正月にかけて,日光では新しい年を迎えるさまざまな行事が執り行われます。
新春とはいいながら,この季節は寒さが最も身にしみる季節です。古来の暦法では,正月から3月が春,4月から6月が夏と3か月ごとに四季が設定されていました。1月が春で4月から夏といわれても,今はなかなか実感が伴いません。
現在の太陽暦を取り入れたのが明治5年(1872)12月。それ以前は太陽太陰暦(天保暦・旧暦)によって暦を定めていました。これを現在に当てはめると,令和2年元旦は旧12月7日,新春が始まる旧1月1日は今のカレンダーの1月25日。冬至から1か月,日も少し長くなり,厳しい寒さの中にも,春に向かう明るさを実感できる季節です。
正月には,年を迎えるために家の中を飾り,大黒天や寿老人などの七福神を招き,寺や神社に初参りするなど,新しい年を幸福・健康に過ごせるよう準備をし,願をかけます。また,和歌を詠み,百人一首などのかるた取りをして,新春の風情を楽しみます。
江戸時代,日光をはじめ比叡山や江戸寛永寺を兼務された輪王寺宮様も,お正月は日光にお出ましになりました。宮様が日光で過ごされた旧本坊は宝物殿のあるこの場所です。冷たい風の中にも暖かな日差しが差し込むこの季節,福を招く文物と冬の風情を楽しみながら,静かなひとときを送っていただければ幸いに存じます。
展示期間:2019年12月5日(木)から2020年2月4日(火)まで
令和元年12月 輪王寺宝物殿
【主な展示品】 ☆国宝 ◎重要文化財
☆大般涅槃経集解 巻第27 1巻 平安時代
◎鋳銅半肉千手観音像 1面 平安時代
公現法親王筆 陽春布徳澤 1幅 江戸時代
川合玉堂筆 蓬莱山之図 1幅 昭和時代
天真法親王筆 普門品 3巻 江戸時代
六歌仙屏風 1隻 江戸時代
壽老人・鯉瀧之図 3幅巻 江戸時代
井出の玉川図(徳川吉宗公筆) 1幅 江戸時代
次回展示予告 2020年2月6日(木)~4月8日(水)