「日光の社寺」世界遺産登録20周年記念 ー徳川家康公の肖像と日光山の至宝ー
令和元年10月10日(木)~ 12月3日(火)
ごあいさつ
「日光の社寺」がユネスコ世界遺産に登録されて今年で20年を迎えました。このたびはこれを記念して,
日光の長い歴史を物語る貴重な文化財をご覧いただきます。
紙本着色 東照権現像(夢の画像)一幅 重要文化財
江戸幕府三代将軍徳川家光公は,祖父家康公の夢を見る度にそのお姿を幕府御用絵師の狩野探幽に命じて描かせました。霊夢像,あるいは夢の画像とも称されるこうした画像は,十数幅が確認されています。輪王寺はそのうちの8幅を所蔵し,全て一括で重要文化財に指定されています。唐破風のついた立派な神殿の御簾や幔幕の奥に鎮座する家康公ですが,白い寝間着に立て膝でとてもリラックスした表情で描かれます。描かせた家光公も描いた探幽も,家康公と接する機会のあった人びとです。生前謦咳に接する人ならではの飾らないお姿が描かれています。
紙本墨書 朝鮮国王孝宗宸筆額字 一巻 ユネスコ世界記憶遺産・栃木県指定文化財
朝鮮は江戸時代の日本が正式に国交を持った国の一つです。日本には,朝鮮通信使がたびたび訪れています。日光へは計3度の来訪があり,最後になった明暦元年(1655)は,大猷院で(儒教式の祭礼)を執り行っています。両国の国交に尽力した家光公への礼を尽くしたものです。この時,朝鮮国王の孝宗から,「霊山法界崇孝浄院」の額字が贈られました。「霊山法界」は日光山を,「崇孝浄院」は祖父を敬った家光公を祀る大猷院を表しています。
舞楽図屏風 六曲一双
輪王寺は数多くの舞楽所用具を所蔵します。衣装や面や所用具など834点は舞楽所用具として重要文化財に指定されています。これらの所用具は,寛永13年(1636)の東照宮二十一回忌に調えられ,その後,大猷院に引き継がれました。
この屏風は,演目ごとに衣装を身につけた舞手が所狭しと描かれています。屏風が納められた黒漆塗りの箱には寛永13年の銘があります。もともとは舞楽所用具とセットで誂えられた屏風だと考えられます。
無楽図屏風(左隻)
この他にも,世界遺産日光の社寺にふさわしい選りすぐりの宝物を用意致しました。紅葉の盛りを迎える逍遥園も同時にご観覧頂けます。多くのお客様のお越しをお待ちしています。
令和元年 10月 輪王寺宝物殿
【主な展示品】 ☆国宝 ◎重要文化財 ○栃木県指定文化財
◎東照権現像(夢の画像) 一幅 寛永16年
徳川家光公画像 一幅 江戸時代
舞楽図屏風 六曲一双 寛永13年(1636)
◎舞楽所用具 陵王の面 一面 寛永13年(1636)
◎金銅蛭巻入峰斧 一柄 鎌倉時代
◎金銅大火舎香炉 一合 平安~鎌倉時代
○朝鮮国王孝宗宸筆額字 一巻 乙未年(1655)
○朝鮮通信使献納 朱漆塗箱 一合 乙未年(1655)
◎高麗版 一切経 一巻 高麗時代
☆大般涅槃経集解 巻第26 奈良・平安時代