お知らせ

2025年03月01日法話

浦島太郎

輪王寺 執事長
今井 昌英

 コロナ禍以降、我が家では外食をしないのが日常となりましたが、先日、ある会合の帰り道、かつて行きつけだった隣町のファミリーレストランに何年かぶりで寄ってみたときのことです。.

 まず、内装が一新されてスッキリした店内にびっくり。夕食には少々早い時間だったせいか、私たち以外の客は数人といったところ。思わずコロナ前の賑わいと比べてしまいました。

 席に着いて次に驚いたのは以前と違うタッチパッド式の注文。戸惑いながらも妻と2人で力を合わせ、何とか注文を済ませたものの、以前のような店員さんとのやり取が懐かしく思い出されました。そしてやれやれと店内を見渡してまた驚いたのが店内を動き回る配膳ロボット。まるで未来映画のようでした。よく見ると客席担当の店員さんは一人だけ、あとは配膳ロボットが仕事を補っている様子でした。そうこうするうち店員さんが料理を運んで下さり、ようやく人間の店員さんに会うことが出来ました。

 翌日、職場でそのことを話したら、今や外食チェーンのお店はそれが当たり前だと聞いてまたビックリ。大げさに言えば浦島太郎のような気分。コロナ禍中に世の中は随分変わったものだと思い知った出来事でした。

 「諸行無常」。世の中は常に変化してゆきます。日本国内においては昨年の能登半島地震や豪雨をはじめとする自然災害と人口減少。国外においては国際紛争や激変する経済情勢、地球規模での温暖化と問題はつきません。AIを代表とする科学的技術革新は今後も進み、世の中はますます複雑化して行くことでしょう。.

 しかし、私たちは幸いにも頼るべき仏教があります。ブッダは今から2,510年前の2月15日(諸説あります)、遺言で「世の中は常に変化し続けるものである。怠ることなく修行を完成なさい」と説かれました。

 激しく変化し続ける世の中であればこそ、恐れることなく自分を信じ、正しい道を追い求めながら毎日を送りたいものだ。と、改めて思う今日この頃なのです。

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