2025年02月12日宝物殿の展示情報
寺宝の維持と修復
日光山輪王寺宝物殿 所蔵品展
2025年2月1日(土)から3月 25日(火)まで
奈良時代から連綿と続く歴史をもつ日光山には,多くの建築・絵画・彫刻・工芸などさまざまな文化遺産が伝えられています。輪王寺はそのうち,仏像・仏画・経典など,仏教に関するさまざまな宝物を受け継いできました。場合によっては1000年を超える古(いにしえ)から伝えられてきた寺宝は,先人の努力によって初めて残されています。こうして伝わった寺宝を私たちも修理し未来に引き継いでいます。
文化遺産の修理は現状維持が原則です。修理する時点での状態をなるべく変えず,弱っているところを補強し,将来傷みが進みそうな場所に予防的に手を入れる。しかし作品が原状を大きく損なっている場合,時には大胆に手を入れることもあります。例えば仏像は,あくまで信仰の対象です。仏様としてのお姿を保つ必要があります。そのためには原状を推測し,復元もします。ただし,補作がわかるようきちんと記録して,いつでも元に戻せるよう,慎重な検討の上で処置をします。
寺宝を引き継ぐ私たちは,可能な限り良い状態でそれを未来に伝える責務を負います。修理者の方々の力を借りながら,ここまで伝えられた寺宝を守るのも宝物殿の大切な仕事です。作品そのものの魅力を堪能する事はもとより,目に見えぬ先人の努力を少しでも知っていただければ,私たちは何よりの幸いに存じます。
令和7年2月
輪王寺宝物殿
【主な展示品】☆国宝 ○栃木県指定文化財 | ||
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東照宮百五十回忌願文 | 1巻 | 明和2年(1765) |
○古能面 牙飛出 | 1面 | 室町末 |
○古能面 蛇 | 1面 | 室町末 |
紙本墨書大黒天像 高隆古筆 | 1面 | 江戸時代 |
木造阿弥陀如来立像 | 1躯 | 仁治3年(1243) |
木造聖観音立像 | 1躯 | 南北朝時代 |
☆大般涅槃経集解 巻60 | 1巻 | 平安時代 |
大猷院夜叉門彩色見取図 | 3点 | 大正時代 |
次回展示予告 2025年 3月27日(木)~ 5月20日(火)
日光山の行事と伝統