立春から始まる『星祈願』
護摩堂執行
畠山 慈朋
例年であれば1月下旬から2月上旬が一年で最も冷え込む時期ですが、今年は春のような陽気を感じる日もあり、まさに「立春」という季節感を肌で感じさせます。
今年は2月2日に節分会追儺式が執り行われる予定で、翌3日が立春です。4年ぶりとはいえ変則的な年となりますが、輪王寺では暦が変わる立春から『星祈願』が始まります。この『星祈願』とは、古代中国で誕生した九星気学をもとに開運を図ったり、凶運を避けたりと吉凶を知るために使われる占術のひとつで、私たちの運命を左右する星の巡り合わせのことを言います。「最近、どうも物事がうまく進まないな」「どうして自分だけ運がないんだ」などと感じている方もいらっしゃることでしょう。ご自身の本命星を良く知った上で、その特色を最大限に生かす、災いを最小限に抑えることが重要なのです。
輪王寺大護摩堂には不動明王をはじめとした五大明王ほか、七福神や十二天等が祀られておりますが、『星祈願』ではとりわけ七福神のなかの毘沙門天・大黒天・弁財天のいわゆる『開運三天』のお力をお借りし、皆様の運気向上祈願を行っております。
今回、星回りが悪いとされるのは次の4つの星回りです。厄難災難が急に襲いかかり最も注意が必要とされる暗剣殺となるのが「八白土星」。他の8つの星に囲まれた中央に位置し、どの方角に事を起こしても上手くいかない八方塞がりとなるのが「二黒土星」。何事にも変化が多く運気も衰えがちな鬼門に座るのが「五黄土星」。運気が最も停滞する北に座るのが「七赤金星」。これらの星回りにあたる方は、大きな決断等はなるべく避け、できるだけ慎重に発言・行動するよう心がけてください。
『星祈願』は普段の護摩に加え、脇座にて『開運三天』真言を唱えるもので、立春から2月末まで行っております。そして『開運三天』の前に鎮座し、圧倒的な存在感を示しているのが護摩祈祷のご本尊不動明王です。お不動様は誰に対しても「忿怒の形相」怖い顔をして迎えますが、どんな悪いことをしても必ずあなたの見方でいるためであり、どんな人でも救いの道へ導くぞという強い意志の表れでもあり、大変慈悲深い仏様なのです。
ご自身の想い、辛いこと、切ないこと、怒りや悲しみ、時には喜びや愛さえも不動明王が背負う火炎で焼き尽くし、焼き清めてもらう、それが護摩祈祷です。
より良き一年にするためにも、皆様のご来山を心よりお待ちしております。