2020年10月22日法話
「神仏習合」
輪王寺 教化部長
菅原道信
日光山は、奈良時代末(天平神護二年)に勝道上人が開山されて以来、神仏習合の霊山として、現在に至るまで沢山の方々よりご信仰を頂いております。
日本には、自然の物を神として崇める神祇信仰があります。この信仰に仏教が入り、神と仏というものが一体化され、神仏習合思想が生まれました。
もちろんこの思想は、日光山だけのものではありません。例えば比叡山も然りで、伝教大師最澄上人が入山のとき、すでに山内には神殿や仏堂が存在していたことが知られます。古来より日本で広く知られる信仰が神仏習合です。
「習」には「重なる」という意味があります。つまり習合とは重なり合うということで、決して神仏が融合されることではありません。同一視はされても、「神社には神」が「仏閣には仏」が存在するということです。
日本人は信仰がいい加減だと言われます。確かに日本人の「お宮参りは神道、葬式は仏教」という信仰形態は、とりわけ外国人の眼には「とてもでないがあり得ない」ことと映るようです。しかし神仏習合思想で考えれば、決して間違いではないのです。
神仏は、姿形は違えども、同じく皆様を護ってくださる存在であります。根本では同一である神仏それぞれにお世話になるということは、神仏習合を知る日本人にとって、正しい信仰のあり方だと言えるのではないでしょうか。