宝物殿 企画展「日光山の故実と伝説」

お陰様で好評裡に終了いたしました。

 日光は奈良時代の昔に開かれた霊地です。766年、勝道上人(しょうどうしょうにん)(735-817)が大谷川(だいやがわ)の激流を渡り四本(しほん)龍寺(りゅうじ)を建立した後、15年の修行の末ようやく補陀洛山(ほだらくさん)(二荒山(ふたらさん))の山頂を極めました。天台宗祖最澄(さいちょう)や真言宗祖空海(くうかい)の活躍する20年ほど前の事です。この勝道上人の事跡は、空海の『性(しょう)』に載せられています。その後、幾多の時代を経て、江戸時代には徳川家の祖廟(そびょう)として栄え、明治時代の神仏分離令を受け現在の形態となりました。開山より約1200有余年の歴史を伝え、様々な霊験譚(れいげんたん)や物語、信仰に関わる言い伝えなどを遺(のこ)しています。

 長い歴史の中で、その時代ごとに様々な宝物が製作され奉納されました。江戸時代中期頃の作である日光山縁起絵巻(にっこうざんえんぎえまき)は、日光開山の顛末(てんまつ)から空海や円仁の来山(伝説)など、江戸時代に東照宮が鎮座(ちんざ)する以前の日光山が描かれています。場面ごとには建物に名称が振られ、往時の日光山の姿と様々な伝説の様子などを見ることができます。勝道上人が深沙(じんじゃ)王(おう)の力を借りて、大谷川(だいやがわ)の激流にかかった蛇橋(じゃばし)を渡り日光を開く姿や、中禅寺(ちゅうぜんじ)湖畔に千手観音が示現(しげん)する様子、華厳(けごん)の滝に上人達一行が降雨を一心に拝むと滝頂上に不動明王が現れ雨を降らせる場面。金堂(こんどう)(三仏堂(さんぶつどう))前に設営された舞台では、現在も当寺で毎年執り行われている秘舞=延年(えんねん)舞(のまい)を舞われている姿など、日光の歴史と伝説を知るうえで興味深い場面が数多く描かれています。

江戸時代に徳川家康公の廟所として東照宮が建立され一躍有名になった日光ですが、忘れ去られがちである奈良時代からの日光の故実と伝説に彩られた歴史を、往時の宝物を伝える輪王寺がご紹介いたします。これらの宝物を通し、様々な時代の人々の信仰を映した伝説をお楽しみください。
                                                 

同時開催「十三代将軍家定と篤姫」

*日光山輪王寺宝物殿は德川記念財団の特別協力館です。

徳川家定は、文政7年(1824)12代将軍家慶(いえよし)家慶(いえよし)の四男として江戸城に生まれました。父・家慶には子女が多くいましたが、多くが早世し、生き残った男子は家定のみでした。天保12年(1841)、11代将軍であった祖父・家斉が死去すると、12代家慶の世子(世継)となり、嘉永6年(1853)家慶の病死により、30歳で13代将軍に就任します。ペリーの浦賀来航、いわゆる黒船の来航のまさにその直後のことでした。

もともと体の弱かった家定は、将軍就任後はさらに体調を悪化させ、幕政を司ることは叶わず、幕政は老中・阿部正弘によって主導され、阿部正弘の死去後は堀田正睦によって担われました。

家定の将軍就任は、ペリーの来航により世情が大いに動揺した時期であり、老中阿部正弘は国内の安定を図るために、雄藩大名との協調路線から篤姫(天璋院(てんしょういん)天璋院(てんしょういん))を家定の夫人に迎えます。篤姫は天保6年(1835)、薩摩藩の島津家の一門に生まれ、島津斉彬(しまづなりあきら)島津斉彬(しまづなりあきら)の養女となり、その後近衛忠煕の養女に入り、安政3年(1856)、家定に嫁ぎ継室となりました。

しかし家定が病弱で世子の誕生が見込めないことから、将軍継嗣問題が重大な政治問題にまで発展します。一橋派が推す一橋慶喜(よしのぶ)慶喜(よしのぶ)(水戸徳川斉昭の七男、後の15代将軍)と、南紀派が推す11代将軍家斉の六男斉順の長男で紀伊藩主であった徳川慶福(よしとみ)慶福(よしとみ)(後の家茂(いえもち)家茂(いえもち))が候補にあがります。安政5年(1858)、井伊直弼が大老に就任すると継嗣は慶福に決定し、その直後に家定は35歳で急死しました。

結婚2年満たずして未亡人となった篤姫は、落飾(出家)して天璋院と号します。戊辰戦争では徳川家の存続を嘆願し、その後の徳川家再興に心血を注ぎ、明治16年(1883)にその生涯を閉じました。

このたびの展示では、家定と篤姫ゆかりの品々をご紹介します。この展示を通じて、激動の幕末と、その時代を生きた将軍家定と篤姫のひととなりに思いを馳せていただけましたら幸いです。

平成25年2月
公益財団法人 德 川 記 念 財 団

公益財団法人 德 川 記 念 財 団
〒151-0064 東京都渋谷区上原2-35-5-203
TEL03-5790-1110・2620

德川記念財団ホームページ http://www.tokugawa.ne.jp

日光山輪王寺宝物殿と久能山東照宮博物館の2館で德川記念財団の常設展示を行っています。機会がございましたら、久能山東照宮へもお出かけ下さい。

久能山東照宮博物館
〒422-8011 静岡市駿河区根古屋390
TEL054-237-2437

久能山東照宮ホームページ
http://www.toshogu.or.jp   

【開館時間】午前9時〜午後5時
【休館日】年中無休
【交通機関】東名静岡または清水I.Cより日本平まで約20分/JR静岡駅よりしずてつバス「日本平行き」
【駐車場】日本平駐車場200台を利用(無料) 〔日本平〕よりロープウェイにて5分 
【德川記念財団常設展】2013年1月〜2月末 「神仏を描く」※展示内容・展示期間は、予告なく変更する場合があります。

なお久能山東照宮博物館は、改修工事のため2月末以降休館の予定です。詳しくは電話にてお問い合せ下さい。