宝物殿 企画展「輪王寺の絵画とその修理」

お陰様で好評裡に終了いたしました。

輪王寺は奈良時代に創建された日光山で最も古いお寺です。当時日本には大陸より仏教が伝来し、日本古来の神道(しんとう)や修験道(しゅげんどう)と混淆を繰り返し日本独自の宗教として発展をとげました。神と仏が一体の存在であるとする神仏習合思想(しんぶつしゅうごうしそう)、日光山においてもその思想を伺うことができます。山々に囲まれた険しい土地である日光では山岳信仰や修験道が盛んに行われてきました。その修行場所である日光連山の神々に本地仏(ほんじぶつ)(仏の姿)を配当し、日光三所権現(にっこうさんじょごんげん)という独自の信仰形態を生みだしました。中世以降、日光ではこうした仏教・神道・山岳信仰の混合された信仰が行われていたため、仏教所道具、仏画の他、神仏習合の史料が数多く現存しています。時代が変わり、また新しい信仰対象が加えられ、これまでの信仰形態を変化させるものもあります。古くから祀られる神々が存在する中、新たにもたらされた多様な神仏は古代日本人の柔軟な思想によって受入れられ、あらゆる形に変化させ、皆大切に信仰されてきたことがわかります。

仏教に関する史料の他、当寺には徳川将軍家、宮家などに関する伝来品も数多く残ります。江戸時代に徳川家康公霊廟の東照宮(とうしょうぐう)・三代将軍家光公の霊廟大猷院(たいゆういん)が日光山へ建立されたことにより、徳川幕府との縁ある地として江戸時代の日光山は隆盛を極めました。霊廟には、幕府御用絵師(ごようえし)であった狩野探幽(かのうたんゆう)、木村了琢(きむらりょうたく)、神田宗庭(かんだそうてい)らによる障壁画(しょうへきが)や天井画、仏画、そして宮中、大名家や、貿易をおこなっていた外国からの奉納・寄進による工芸品など、当時の贅と技術を用いた様々な史料が納められています。

今回の展示では当寺に所蔵される様々な時代の絵画をご紹介させていただき、日光山の歴史について、その一端を感じていただければ幸いです。

文化財の修理

日光山では現在も各所建造物の修理が行われています。堂宇の彩色(さいしき)や破損部分などの修理が行われており、輪王寺本堂である三仏堂も修理に入りました。(2020年完成予定)こうした修理現場は一部が公開され、その作業を見学することが出来ます。
輪王寺では建物の他に絵画・彫刻・工芸などの修理も進めています。これら文化財は現在公開に使用できるよう、そして史料を後世に残していくための保存を考慮した修理が行われています。此度の展示では絵画、特に掛け軸の修理・構造についてご紹介致します。

日光山輪王寺宝物殿

德川宗家伝来の品に見る吉祥(きっしょう) ご挨拶

幸せになりたい、健康で長生きしたい、豊かになりたい、夫婦仲良く過ごしたい、出世して偉くなりたい、こどもや孫に恵まれたい、平和に暮らしたい……。いつの世も人々の願うことは変わらないのではないでしょうか。そのような人々の願いは、日常を彩る美術品や工芸品にも様々な形で表されています。

「吉祥」とはめでたい兆し・良い前兆のことを指し、縁起がよいとされる動物・植物や器物などを描いた図柄を「吉祥文様」と呼びます。例えば、松・竹・梅の文様がお正月や結婚式などのおめでたい場面でよく用いられること、鶴と亀が長寿の象徴とされることは、よく知られるところでしょう。吉祥のシンボルは、図柄に表されるのみならず、歌に詠まれたり、文字に書かれたりすることもあります。このようなめでたいモチーフを用いることで、自分や家族・友人の幸せを願うのです。

ところで何故、庭木にもなり目にすることの珍しくない松・竹・梅が吉祥とされるのでしょうか。それは中国において、松と竹が冬でも緑を保ち、梅はまだ寒い時期に花を咲かせる姿が、清廉潔白を旨とする文人たちの理想として愛されたことに由来します。それが日本に伝わり、吉祥文様とされるようになりました。
德川宗家に伝来する数々の品にも、吉祥のシンボルが隠されています。単なる花鳥画や水墨画にしか見えない絵画も、実は幸せを願う画題であったり、日用の品にさりげなく施された文様が吉祥文様であったりします。

このたびの德川宗家伝来の作品の展示を通し、様々な吉祥のシンボルと、それを愛で用いた人々の願いに思いを馳せていただけましたら幸いです。

平成24年12月
公益財団法人 德川記念財団

(公財)德川記念財団
〒151-0064
東京都渋谷区上原2-35-5-203
TEL03-5790-1110・2620

德川記念財団ホームページ
http://www.tokugawa.ne.jp

日光山輪王寺宝物殿と久能山東照宮博物館の2館で德川記念財団の常設展示を行っています。
機会がございましたら、久能山東照宮へもお出かけ下さい。

久能山東照宮博物館
〒422-8011
静岡市駿河区根古屋390
TEL054-237-2437

久能山東照宮ホームページ
http://www.toshogu.or.jp

【開館時間】 午前9時~午後5時
【休館日】 年中無休
【交通機関】 東名静岡または清水I.Cより日本平まで約20分/JR静岡駅よりしずてつバス「日本平行き」
【駐車場】 日本平駐車場200台を利用(無料) 〔日本平〕よりロープウェイにて5分

德川記念財団常設展
2012年9月22日(土)~11月30日(金)「德川宗家伝来の品に見る花鳥」
※展示内容・展示期間は、予告なく変更する場合があります。詳しくは電話にてお問い合せ下さい。